意匠設計でクライアントの事業価値を高めるには?非住宅建築(オフィス・商業施設)の設計戦略
- design H
- 8月31日
- 読了時間: 4分
更新日:9月4日

■ 意匠設計は「アート」ではなく「経営戦略」である
| クライアント(事業主)が設計に求める本当の価値
非住宅建築のクライアントが最も重視するのは「事業としての成功」です。設計者は、デザインの美しさがクライアントの事業目標達成にどう貢献するのかを常に意識し、以下の3つの価値を提供することが求められます。
収益性の最大化
魅力的なデザインで競合と差別化し、高い稼働率と賃料アップを実現。デザインはコストではなく「投資」です。
長期的な資産価値
時代を超えて愛される普遍的なデザインと柔軟性で、建物の陳腐化を防ぎ、資産価値を維持・向上させます。
ブランドと集客力
建築自体が強力な広告塔となり、企業のブランドイメージや施設の集客力を強化。SNSでの拡散も期待できます。
| 設計者が語るべきは「事業への貢献」
デザインコンセプトだけではなく、そのデザインが事業にどう貢献するかを「ビジネスの言語」で説明することが不可欠です。設計提案を事業価値に結びつけて語ることで、クライアントの深い理解と信頼を得ることができます。
■ 【オフィスビル編】「働きがい」と「生産性」をデザインする
| 優秀な人材を惹きつけ、定着させるオフィスとは
企業の顔
洗練されたファサードやエントランスは、企業のブランドイメージを物語り、従業員の誇りと来訪者の信頼感を醸成します。
コミュニケーション
カフェやラウンジなど、偶発的な出会いを生む空間がイノベーションを促進し、組織を活性化させます。
ウェルビーイング
自然光や木質化を取り入れた快適な環境が、従業員のストレスを軽減し、生産性と定着率を向上させます
| テナントの長期入居を促す機能的価値
事業の変化に対応するフレキシブルなプランニング
可動式間仕切りやグリッドシステム天井などを採用し、組織変更や働き方の変化に柔軟に対応できる「可変性」を提供。これがテナントの長期入居を促すインセンティブとなります。
■ 【商業施設編】「買いたい」「また来たい」を創り出す体験のデザイン
| 集客と売上を最大化する設計のポイント
ターゲットとコンセプトの明確化
顧客層に響く空間を創るため、設計の方向性を定める羅針盤となります。
回遊性を高める動線計画
顧客が自然と歩き回りたくなる「歩いて楽しい」計画が、滞在時間を延ばし売上を向上させます。
SNSでの拡散を誘う「インスタ映え」
フォトジェニックな空間が、広告費をかけずに施設の認知度を高める強力なツールになります。
| 商業施設特有の制約を乗り越える専門知識
設計ガイドラインや景観ルールへの対応
施設のルールや法的規制の中で、独自性と魅力を両立させる豊富な経験と専門知識が不可欠です。
厳しい工程管理への知見
夜間工事など、限られた時間でプロジェクトを完遂させるマネジメント能力が求められます。
■ 新たな潮流:サステナビリティがもたらす事業価値
| なぜ今、非住宅の木造化が注目されるのか?
脱炭素と企業イメージ
木材利用はSDGsへの貢献を示し、ESG投資を呼び込むなど、企業の社会的評価を高めます。
工期短縮と早期収益
プレファブリケーションにより工期を短縮し、早期の賃料収入確保に貢献。投資回収を早めます。
| ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)実現に向けた設計
省エネ・創エネによるランニングコスト削減
高断熱化や太陽光発電により、光熱費を大幅に削減。建物のライフサイクルコストを低減し、長期的な収益性に貢献します。
■ まとめ:事業の成功を共に目指す設計パートナーとは
非住宅建築における意匠設計は、もはや単に美しい形を創り出すだけでは十分ではありません。クライアントが直面する事業課題を深く理解し、その解決策として設計を提案する「ビジネスパートナー」としての視点が不可欠です。
設計がいかにして人材獲得や売上増加に貢献するか。サステナビリティをいかにして企業価値に結びつけるか。これらの問いに具体的かつ論理的な答えを提示できる設計者こそが、これからの時代に求められます。クライアントの事業の成功をデザインの力で実現すること。それこそが、意匠設計が提供できる最大の価値と言えるでしょう。

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