建築施工図の種類を完全網羅!
- design H
- 6 日前
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更新日:2 日前

■ すべての基本となる「躯体図」
| 建物の骨格を作る、最も重要な図面
躯体図(くたいず)は、建物の構造的な骨格、つまり柱、梁、壁、床スラブといった構造体を作るために不可欠な、すべての建築施工図の基本となる図面です。建物の「骨格」を正確に作り上げるための、最重要指示書と言えるでしょう。
| RC造とS造(鉄骨造)での躯体図のポイント
建物の構造によって躯体図で重要視されるポイントが異なります。
RC造(鉄筋コンクリート造)
気密性や耐火性に優れます。図面では鉄筋の太さや間隔、コンクリートの厚み(かぶり厚さ)などが品質を左右する重要な情報となります。
S造(鉄骨造)
コストを抑えやすい一方、図面では鉄骨部材同士の接合方法(ボルト本数や溶接など)の詳細な情報が極めて重要になります。
■ 仕上げと納まりの要「平面詳細図」
| 設計図を"進化"させた、情報密度の高い図面
設計図の平面図の縮尺を大きくし、内装や建具など、仕上げに関わる詳細情報を大量に描き加えた図面です。職人が実際に作業するための「実行」の図面であり、その情報密度は比較になりません。
▼平面詳細図でわかること
壁・建具:壁の正確な位置や厚み、ドアや窓の開く方向や枠の形状など。
仕上げ材:床材(フローリング等)や壁紙の種類・品番、フローリングを張る向きなど。
■ 高さ情報を司る「断面詳細図(矩計図)」
| 建物を垂直に切断し、高さ関係を明らかにする
建物を垂直に「切断」し、その断面を真横から見た図面です。床・天井・窓などの「高さ方向」の寸法や仕様を詳細に示します。「矩計図(かなばかりず)」とも呼ばれます。
▼断面詳細図でわかること
高さ寸法:階高、天井高、基礎の深さなど、垂直方向の正確な寸法。
内部構造:床・壁・屋根の材料の重なり順や各層の厚みなど。
■ 干渉を防ぐ最重要図面「総合図」
| 建築・構造・設備の図面を重ね、矛盾を発見する
異なる専門分野の図面を一枚に重ね合わせた調整用の図面。最大の目的は、各工事間で起こりうる「干渉(コンフリクト)」を図面上で事前に発見し、解決することです。
▼干渉の具体例(取り合い調整)
天井裏で、構造の「梁」と空調の「ダクト」がぶつからないか?
天井の「照明」と消防設備の「スプリンクラー」の位置が重ならないか?
【参考】情報の色分け例
●建築 | ●電気設備 | ●空調設備 | ●衛生設備 |
その他、知っておくべき施工図一覧
天井伏図天井を真下から見上げた図。照明やエアコン、火災報知器などの正確な配置を示します。 | 割付図タイルやパネルなど、仕上げ材のレイアウト図。どこから貼り始めるか、目地の位置などを決めます。 |
仮設計画図工事用の足場やクレーンなど「仮設物」の設置計画図。現場の安全と効率を支えます。 | 配管図・プロット図給排水・ガス等の配管ルートや、コンセント・スイッチの位置など、設備工事の詳細を示します。 |
■ 建築施工図の種類と役割まとめ
図面の種類 | 核心的な役割 | キーワード |
躯体図 | 建物の骨格を作る、すべての基本となる図面。 | 構造・骨格・基礎 |
平面詳細図 | 内装や建具など、仕上げに関する詳細情報が満載。 | 仕上げ・内装・寸法 |
断面詳細図 | 建物の高さ関係を正確に決めるための図面。 | 高さ・断面・矩計 |
総合図 | 異なる工事の干渉を防ぐ、プロジェクトの司令塔。 | 干渉・調整・取り合い |
施工図を制する者が、現場を制す
各種施工図の役割を正しく理解し、それらを読み解く力は、施工管理のプロフェッショナルとして成長するための必須スキルです。このページが、あなたのスキルアップの一助となれば幸いです。

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