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建築施工図とは?設計図との違いを【徹底解説】

  • 執筆者の写真: design H
    design H
  • 8月22日
  • 読了時間: 5分

更新日:8月26日


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建設現場で飛び交う「設計図」と「施工図」という言葉。どちらも建物を建てるための図面ですが、その役割や内容は全く異なります。「図面通りにお願いします」と言われても、どちらの図面を指しているのか分からなければ、話が噛み合わないかもしれません。この記事では、建設業界に足を踏み入れたばかりの方や、これから施工管理を目指す方に向けて、「建築施工図」とは何か、そして「設計図」との決定的な違いはどこにあるのかを、具体例を交えながら徹底的に解説します。この記事を読めば、二つの図面の本質的な違いが明確になり、現場でのコミュニケーションがよりスムーズになるはずです。

建築施工図とは?現場の「取扱説明書」と呼ばれる理由

職人が「どのように建てるか」を理解するための実行計画書

建築施工図(以下、施工図)とは、一言で言えば「建物を建てるための、現場専用の取扱説明書」です。設計図が「何を作るか」という完成形を示すのに対し、施工図は「どのように作るか」という具体的な手順や方法を詳細に指示します。


設計図 = 完成写真

どんなものが出来上がるかは分かるが、

作り方は分からない。

施工図 = 組立説明書

どうやって作るかがミリ単位で

詳細に書かれている。


設計図だけでは、ドアを壁のどの位置に、どの向きで、どんな部品を使って取り付けるかといったミリ単位の情報が不足しています。施工図は、そうした現場で本当に必要な寸法、部材の仕様、納まり(部材同士の接合部分の収め方)といった情報を網羅し、職人が迷いなく正確に作業を進めるための「実行計画書」としての役割を担っているのです。



品質・コスト・安全を確保し、手戻りを防ぐプロジェクトの要

施工図は、単に作業指示を出すだけの図面ではありません。それは、プロジェクトの根幹である「品質・コスト・安全」を管理するための極めて重要なツールです。もし施工図なしで工事を進めると、現場で問題が次々と発生し、一度作った壁を壊してやり直す「手戻り」が発生します。これにより工期は遅れ、コストは増大してしまいます。



▼施工図の有無による工事進行の違い

❌ 施工図がない場合

  1. 現場で問題発生 (例: 配管が干渉)

  2. 手戻り (壁の解体・再施工)

  3. コスト増・工期遅延・品質低下

✅ 施工図がある場合

  1. 図面上で問題を事前発見

  2. 計画段階で問題を解決

  3. 品質・コスト・安全の確保



施工図を作成する過程で、設計図の段階では見えなかった各専門工事間の干渉や、施工上の問題点を事前に発見し、解決することができます。これにより、現場での手戻りという最もコストのかかるリスクを未然に防ぐのです。



対する設計図とは?「何を作るか」を示す建物の青写真

施主の要望を形にし、建築許可を得るための公式図面


設計図は、施工図とは目的も対象者も全く異なる図面です。これは、建築を依頼した施主(お客様)の要望を形にし、「このような建物を建てます」という計画の全体像を示すためのものです。建物のデザイン、間取り、広さなどが記載されており、施主とのイメージ共有や見積もりの基盤となります。さらに、建築基準法などの法律に適合していることを証明し、行政から建築許可を得るための「公式な申請書類」としても使用されます。



【一覧表で早わかり】施工図と設計図の4つの決定的違い

項目

施工図 (どう作るか)

設計図 (何を作るか)

① 目的

現場での実行のため。職人への具体的な作業指示。

計画の提示と承認のため。施主への提案、行政への申請。

② 作成者

施工者(施工管理者、ゼネコン)。

設計者(建築士、デザイナー)。

③ 対象者

現場のプロ(職人、専門工事業者)。

施主、行政(検査機関)。

④ 情報量

非常に詳細。ミリ単位の寸法、部材の仕様など。

全体像が中心。デザイン、間取りなど。



もう一つの重要図面「竣工図」との関係性

設計図、施工図と並んで重要なのが「竣工図(しゅんこうず)」です。これは、工事がすべて完了した後に作成される図面で、「最終的に何が作られたか」を正確に記録したものです。工事中の細かな変更点がすべて反映されており、将来のメンテナンス時に「建物の正確なカルテ」として非常に重要な役割を果たします。


設計図 (計画) → 施工図 (実行) → 竣工図 (記録)



誰が作成し、管理するのか?

施工図の作成・管理は施工者の重要な役割

施工図の作成と管理は、工事を請け負ったゼネコンや現場の施工管理者の重要な責務です。設計図という「計画」を、実際に建設可能な「実行プラン」へと翻訳するこのプロセスは、プロジェクトの成否を分ける極めて重要な工程です。


資格は必須ではないが、施工管理技士や建築士が有利

施工図の作成自体に特定の資格は義務付けられていません。しかし、高度な専門知識と経験が不可欠なため、実際には国家資格である「施工管理技士」や「建築士」の資格を持つ担当者が作成・管理にあたることがほとんどです。



まとめ

  • 設計図は「何を作るか」を示す計画書で、主に施主や行政に向けたもの。

  • 施工図は「どのように作るか」を示す取扱説明書で、現場の職人に向けたもの。

  • 施工図は、品質・コスト・安全を確保し、手戻りを防ぐために不可欠。

  • 施工図の作成・管理は、施工管理者やゼネコンの重要な役割。


この二つの図面の違いを正しく理解することは、建設プロジェクトに関わるすべての人にとっての第一歩です。それぞれの役割を把握し、適切な場面で適切な図面を用いることで、プロジェクトを成功に導くことができるでしょう。




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