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意匠設計の外注で失敗しないために信頼できる協力会社の選び方と連携術

  • 執筆者の写真: design H
    design H
  • 8月29日
  • 読了時間: 6分

更新日:3 日前


電気設備設計の委託費用と発注のポイント【外注検討者向けガイド】
「人手が足りず、新しい案件を受けられない」「若手の育成が追いつかず、図面の品質に不安がある」「もっと企画やデザインなど、付加価値の高い業務に集中したい」。多くの設計事務所が、このような課題に直面しているのではないでしょうか。特に2025年4月に施行された法改正により、設計事務所の業務負荷は実際に増大しています。このような状況を打開する有効な手段が、意匠設計業務の「外注(アウトソーシング)」です。しかし、外注には「品質は大丈夫か」「うまくコミュニケーションが取れるか」といった不安がつきものです。この記事では、意匠設計の外注を検討している設計事務所の経営者や担当者の方に向けて、外注で失敗しないための具体的なノウハウを解説します。信頼できる協力会社の選び方から、効果的な連携術、契約時の注意点まで、この記事を読めば、外注を成功に導くためのすべてがわかります。


なぜ今、意匠設計の外注が必要なのか?

| 建築業界が直面する「人手不足」と「高齢化」の現実

現在の建築業界は、深刻な「人手不足」と「高齢化」という構造的な課題に直面しています。これは一時的な現象ではなく、設計事務所の経営に直接的な影響を及ぼす大きな問題です。


出典: 1. 国土交通省 調査 / 2. 帝国データバンク 調査



| 2025年の法改正がもたらす業務負荷の増大

人手不足が深刻化する中で、法規制の強化が設計事務所の業務負荷をさらに増大させています。特に「建築物省エネ法改正」と「4号特例の縮小」は大きな影響を与えます。

項目

改正前 (〜2025年3月)

改正後 (2025年4月〜)

省エネ基準

一部の大規模建築物のみ義務化

原則、全ての新築建築物に適合義務化

4号特例

小規模木造建築物は審査を省略

特例が縮小され、多くが審査対象に

発生する業務

省エネ計算、構造計算、追加図書作成など

これにより、一人ひとりに求められる業務の量と専門性が格段に高まり、自社内だけで完結させようとすれば、深刻な業務過多に陥るリスクがあります。



| 自社リソースをコア業務に集中させる経営戦略

厳しい外部環境に対応し成長するためには、限られたリソースの集中が重要です。


外注に適した業務

  • 実施設計図面の作成

  • 各種申請業務

  • 省エネ計算



集中すべきコア業務

  • 顧客との関係構築

  • 基本構想・デザイン検討

  • プロジェクトマネジメント


これは単なる業務効率化ではなく、事務所の生産性と収益性を向上させる積極的な経営戦略です。




意匠設計を外注するメリットと潜むリスク

| 外注化がもたらす4つの経営メリット

① 固定費の変動費化

人件費を固定費から変動費へ転換。キャッシュフローが安定し、市況変動に強い経営体質を構築できます。

② 受注機会損失の防止

繁忙期や大規模案件でもキャパシティを迅速に拡大。取りこぼしていた案件を獲得し、事業成長を加速させます。

③ コア業務への集中

手間のかかる業務を委託し、設計者は付加価値の高い業務に集中。プロジェクト品質と顧客満足度が向上します。

④ 専門知識へのアクセス

BIMや省エネ計算など、専門知識を持つプロに即時アクセス。法改正への対応や新規分野への参入が容易になります。



※知っておくべき外注の2大リスク

① 成果物の品質のばらつき

図面の精度が低い、法規理解が不十分など、品質が安定しないケース。手直しで余計なコストと時間が発生する可能性があります。

② コミュニケーションの齟齬

指示の意図が伝わらず手戻りが発生したり、急な変更への対応が遅れたりするリスク。プロジェクト全体の遅延に繋がります。




どこに頼む?意匠設計の外注先タイプ別特徴

外注先タイプ

特徴

メリット

注意点

組織・アトリエ系事務所

大規模案件やデザイン性に強み

高い技術力と信頼性

費用が高額になる傾向

建設会社の設計部門

施工ノウハウが豊富

コスト削減や工期短縮に強い

コスト優先の設計になりがち

専門特化型の外注企業

実施設計やBIMなどに特化

高い専門性と業務効率

企業の規模や実績にばらつき

フリーランス・個人

単発・小規模タスクに対応

低コストで迅速な場合も

品質・対応・機密保持のリスクが高い




信頼できる協力会社を見極める4つの選定基準

1 検証可能な実績と専門資格者の在籍

類似案件の実績や大手からの継続受注は信頼の証。一級建築士などの有資格者が組織として在籍しているかを確認し、属人化されていない品質担保体制を見極めます。



2 単なる作業者ではない「提案力」

指示通りに描くだけでなく、意匠・構造・設備の整合性チェックや、品質向上・コスト削減に繋がるVE提案など、主体的に関与してくれるパートナーかを見極めます。



3 プロジェクトを円滑に進める「対応力」

急な仕様変更や問い合わせへのレスポンスの速さ、柔軟な姿勢は重要。社内チームのようにシームレスに連携できるか、コミュニケーションを通じて確認します。



4 安定した品質を生む「体系化された業務プロセス」

品質管理のチェックリストや業務マニュアルなど、業務が標準化されているか。担当者に依存せず、常に安定した品質を期待できる仕組みの有無を確認します。




 トラブルを未然に防ぐ業務委託契約書のチェックポイント

業務範囲と成果物の明確化

「実施設計一式」ではなく、納品物を具体的にリストアップする。


報酬、支払い条件、経費

金額、算定方法、支払時期、経費負担を明確にする。


著作権(知的財産権)の帰属

成果物の著作権がどちらに帰属するかを明記する。


仕様変更・修正への対応

無償対応の範囲や、追加費用が発生する条件など、具体的なルールを定める。


秘密保持と再委託

秘密保持義務を課し、再委託の可否と条件(事前承諾など)を定めておく。




まとめ:成功する意匠設計の外注は「パートナー選び」が9割

人手不足や法改正といった課題に直面する設計事務所にとって、意匠設計の外注はもはや単なる選択肢ではなく、持続的成長のための必須戦略です。


外注成功の鍵は、信頼できる「パートナー」をいかに見極め、効果的な連携体制を築くかにかかっています。価格だけで選ぶのではなく、実績、提案力、対応力、業務プロセスといった基準で慎重に選定することが重要です。


対等なパートナーとして尊重し合う関係を築くことが、プロジェクトを成功に導き、貴社の事業成長を加速させる原動力となるでしょう。



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