「蛍光灯が買えなくなる」という話を耳にしたことはありませんか。家の天井、事務所の照明、学校や工場の長い直管。日本の建物を照らしてきた蛍光灯に、期限が近づいています。
今回はアッシュくんが、電気にくわしいのりめぇる先生に、蛍光灯の2027年問題と、あわてずに切り替えるための考え方を教わります。
結論から言うと、一般照明用の蛍光ランプは、水銀に関する国際条約にもとづいて、直管と環形が2027年12月末、コンパクト形が2026年末で製造と輸出入を終えます。ただし、今ある蛍光灯を使い続けることや、店頭にある在庫を買うことは禁止されません。困るのは「切れたときに替えの球が手に入りにくくなる」ことなので、器具ごとLEDへ計画的に切り替えるのが答えになります。
なぜ蛍光灯が作られなくなるのか
のりめぇる先生、蛍光灯ってどうして作られなくなるの? まだ普通に売ってるし、壊れてるわけでもないのに。
理由は蛍光灯の中身にある。蛍光灯はガラス管の中にごく少量の水銀が入っていて、電気で水銀の蒸気を光らせ、その光を管の内側の蛍光物質で白い光に変えている。水銀がないと光らない仕組みなんだ。
水銀は環境や健康への影響が大きい物質だから、世界で使用を減らす取り決めが結ばれた。それが水銀に関する水俣条約だ。2023年の締約国会議で、一般照明用の蛍光ランプの製造と輸出入を段階的に終えることが決まった。
つまり蛍光灯が悪い製品だから消えるのではなく、水銀を使わない代わりの技術、つまりLEDが十分に育ったから、役目を終える段階に来たということだね。
あの白い光の裏に水銀がいたんだ。代わりができたから引退するんだね。
LEDが少ない電気で明るく光るしくみと省エネの効果はLED照明と省エネの基礎入門で解説しています。
いつ、どの蛍光灯が終わるのか
| 種類 | 製造・輸出入の終了 | 主な使われ方 |
|---|---|---|
| 直管形(棒状) | 2027年12月31日 | 事務所、学校、工場、店舗の天井 |
| 環形(丸い輪) | 2027年12月31日 | 住宅のシーリングライト |
| コンパクト形(折り曲げた管) | 2026年12月31日 | ダウンライト、洗面所、廊下 |
| 電球形(電球の形をした蛍光灯) | 先行して終了に向かう | 住宅の電球ソケット |
ここで大切なのは、終わるのは「製造と輸出入」だという点です。
- 使い続けてよい:期限が来ても、今ついている蛍光灯を外す必要はありません
- 在庫は買える:期限までに作られた製品は、その後も売買できます
- いずれ手に入りにくくなる:新しく作られないので、在庫が減れば価格が上がり、やがて見つからなくなります
アッシュくんメモ:「使えなくなる」んじゃなくて「買えなくなる」んだね。切れてから探すと困るから、切れる前に計画するのが正解なんだ。
ランプだけ替えるか、器具ごと替えるか
蛍光灯の形をしたLEDが売ってるよね。あれを今の器具に差し込めば済むんじゃない?
そこが、いちばん注意してほしいところなんだ。蛍光灯の器具には安定器という部品が入っていて、蛍光灯を点けるための電気の調整をしている。LEDにはこの部品は不要で、むしろ相性の問題を起こす。
直管形のLEDには、安定器をそのまま使うタイプと、安定器を切り離す配線工事が前提のタイプがある。器具の安定器の種類とLEDの方式が合っていないと、点かない、ちらつく、発熱する、といったトラブルになる。安定器を通したままでは電気のむだも残るし、安定器自体も寿命があるから、そこが先に壊れることもある。
だからメーカーも多くの専門家も、器具ごとLEDの照明に替えることを勧めている。ランプだけ替えるのは応急の手段で、本命は器具の更新。とくに配線を触る作業は、電気工事士の資格が必要な領域だと覚えておいてほしい。
| ランプだけLEDに交換 | 器具ごとLEDに交換 | |
|---|---|---|
| 費用 | 安い | 高い |
| 安定器 | 残る(相性・寿命・電気のむだの問題) | なくなる |
| 工事 | 方式によっては配線工事が必要 | 器具の取り付け工事が必要 |
| 安全・保証 | 器具とランプのメーカーが異なると保証が曖昧 | 器具として一体で保証される |
| 向く場面 | 一時的なつなぎ | 今後10年以上使う場所 |
電気工事が必要な作業と自分でできる範囲の線引きはコンセントは自分で増やせるでも解説しています。照明の器具や配線に触る作業は、この線引きの向こう側です。
建物の管理者が今から考えるべきこと
住宅なら数本の話ですが、事務所ビルや学校、工場では数百本、数千本の蛍光灯が同時に期限を迎えます。ここで起きるのは在庫の奪い合いと、更新工事の集中です。
- 本数と種類を数える:どの部屋にどの形の蛍光灯が何本あるか。まずここから始まります。図面の照明器具表があれば作業が早まります
- 優先順位をつける:点灯時間が長い場所ほど、LED化で電気代の下がり幅が大きくなります。効果の大きい場所から更新するのが合理的です
- 切り替えの時期を分散する:期限直前は工事の依頼が集中します。年度をまたいで計画的に進めるほうが、費用も工期も安定します
- 照度を見直す機会にする:LED化のときに、明るさの配分や器具の配置を見直せます。部屋の用途に合った明るさの考え方は500ルクスはどのくらいの明るさをどうぞ
設備の更新を計画的に進める考え方は設備の更新はいつでくわしく解説しています。蛍光灯の期限は、建物全体の照明を見直す絶好の機会でもあります。
捨てるときは水銀に注意
切り替えのあとに残るのが、外した蛍光灯の処分です。蛍光灯には水銀が含まれるため、一般のごみと同じには扱えません。
- 家庭では:自治体の分別ルールに従います。多くの地域で蛍光灯は専用の区分や回収拠点が設けられています
- 事業所では:産業廃棄物として、適切な処理業者に委託するのが原則です。大量の更新工事では、処分の計画と費用も含めて見積ります
- 割らない:割れると水銀の蒸気が出ます。保管や運搬の際は、割れないよう梱包します
「買えなくなる」って聞いてあせってたけど、期限は「作らなくなる日」なんだね。うちの丸い蛍光灯、切れる前に器具ごと替える計画を立ててみるよ。
その順番が正解だよ。照明は建物の中でいちばん本数が多い設備だから、切れてから慌てると一気に困る。逆に、時間があるうちに替えれば、明るさの配分を見直したり、電気代を下げたりする機会にもなる。期限は締め切りではなく、照明を良くするための合図だと思ってほしいな。
まとめ:使えなくなるのではなく、買えなくなる
- 一般照明用の蛍光ランプは、水銀に関する国際条約により、直管・環形は2027年末、コンパクト形は2026年末で製造と輸出入が終わる
- 使い続けることと在庫の売買は禁止されない。困るのは替えの球が手に入りにくくなること
- ランプだけLEDに替えるのは応急策。安定器の相性や寿命の問題が残るため、器具ごと替えるのが本命
- 配線を触る作業は電気工事士の領域。工事不要とうたう製品でも器具との適合確認が必要
- ビルや工場は本数を数え、点灯時間の長い場所から、時期を分散して計画的に更新する
- 外した蛍光灯は水銀を含むため、自治体のルールや産業廃棄物として適切に処分する
おさらいクイズ
のりめぇる先生の話、覚えられたかな? 直感で選んでみてね。
-
蛍光灯の製造が終わる主な理由は?
- LEDより明るいから
- 中に含まれる水銀の使用を減らす国際的な取り決めがあるから
- 電気代が安すぎるから
正解は水銀。蛍光灯は水銀の蒸気を光らせる仕組みで、水銀に関する水俣条約にもとづき製造と輸出入が段階的に終わります。
-
期限が来たあと、今ついている蛍光灯はどうなる?
- 使うと違法になる
- 自動的に消える
- 使い続けてよいが、替えの球は手に入りにくくなる
正解は3番。終わるのは製造と輸出入で、使用や在庫の売買は禁止されません。切れたときに困らないよう、計画的な切り替えが大切です。
-
LEDへの切り替えで本命とされる方法は?
- 器具ごとLEDの照明に替える
- 蛍光灯の器具に電球を無理に取り付ける
- 何もしない
正解は器具ごとの交換。ランプだけの交換は安定器の相性や寿命の問題が残る応急策です。配線を触る作業は電気工事士の領域になります。
よくある質問
家の丸い蛍光灯(環形)はいつまで買えますか?
製造と輸出入の期限は2027年12月末です。その後も在庫は売買できますが、徐々に手に入りにくくなります。シーリングライトは器具ごとLED製品に替えるのが一般的で、住宅用は取り付けが簡単な製品も多くあります。天井の配線器具の形を確認してから選んでください。
「工事不要」と書かれた直管LEDなら自分で替えられますか?
器具の安定器の種類とLEDの方式が合っている場合に限られます。適合しない組み合わせでは、点かない・ちらつく・発熱するといったトラブルが起きます。器具の型番を確認し、メーカーが適合を明記している製品を選んでください。少しでも配線に手を入れる作業なら、電気工事士に依頼します。
LEDにすると電気代はどれくらい下がりますか?
器具や使い方によりますが、蛍光灯からLEDへの切り替えで消費電力が大きく下がるのが一般的です。点灯時間が長い場所ほど効果が表れます。電気代の考え方は電気代の計算方法で解説しています。
賃貸の部屋の蛍光灯はどうすればいいですか?
照明器具が備え付けの場合は、大家さんや管理会社に相談してください。器具の交換は所有者側の判断になります。自分で購入した器具であれば、退去時に持ち出せるLEDのシーリングライトに替えるのが現実的です。
非常灯や誘導灯の蛍光灯も対象ですか?
防災用の照明は一般照明とは別の扱いや切り替えの流れがあり、すでにLED化が進んでいる分野です。建物の防災設備は法令にもとづく点検の対象なので、更新は点検業者や管理者と相談して進めてください。誘導灯のしくみは誘導灯と非常用照明の基礎入門をどうぞ。
