寒くなると出番が来る石油ファンヒーター。スイッチを入れればすぐ暖かく、電気の暖房より力強い。その一方で、取扱説明書には必ず「換気をしてください」と書かれています。暖めた空気を逃がすのはもったいない気もしますが、この注意には理由があります。

今回はアッシュくんが、機械設備にくわしいエース先生に、燃焼する暖房器具と換気の関係を教わります。

結論から言うと、石油ファンヒーターやガスファンヒーター、石油ストーブは「開放型」と呼ばれ、部屋の空気を使って燃やし、燃えたあとの排気も部屋の中に出す器具です。使い続けると部屋の酸素が減り、不完全燃焼が起きると一酸化炭素が発生するおそれがあるため、1時間に1回から2回、数分間の換気が呼びかけられています。これに対して、外の空気を取り込み排気も屋外へ出す「密閉型」の器具なら、この換気は不要です。

開放型とは何か

アッシュくん

エース先生、ファンヒーターの説明書に「換気してください」って書いてあるけど、暖めた空気を捨てるなんてもったいないよ。どうして必要なの?

エース先生

その器具が、部屋の中で火を燃やしているからなんだ。石油ファンヒーターの中では灯油が燃えている。燃えるには酸素が要る。その酸素は、部屋の空気から取っている。

そして燃えたあとには、二酸化炭素や水蒸気といった排気が出る。この排気は、器具の吹き出し口から暖かい風と一緒に部屋の中へ出ていく。つまり石油ファンヒーターは、部屋の空気を吸って燃やし、排気を部屋に戻している。こういう器具を開放型と呼ぶんだ。

締め切った部屋でこれを続けると、酸素が少しずつ減って、二酸化炭素と水蒸気が増える。酸素が足りなくなると燃え方が悪くなり、不完全燃焼が起きる。そのときに出るのが一酸化炭素。色もにおいもないから気づけない。だから定期的に外の空気と入れ替える必要があるんだよ。

アッシュくん

部屋の中で火を燃やしてるんだから、部屋の空気が変わっていくのは当然だったんだ。

開放型と密閉型を比べる

開放型密閉型(FF式など)
燃やす空気部屋の空気を使う外の空気を取り込む
排気の行き先部屋の中屋外へ排出
換気1時間に1〜2回、数分間が目安不要
設置置くだけで使える壁に給排気の穴を通す工事が要る
代表例石油ファンヒーター、石油ストーブ、ガスファンヒーターFF式の石油暖房機、密閉式のガス暖房機
向く場所換気しやすい部屋、短時間の使用寒冷地の主暖房、長時間の使用

エアコンや電気ストーブ、床暖房は部屋の中で何も燃やさないため、この意味での換気は不要です。暖房方式ごとの特徴は床暖房のしくみや脱衣所や廊下が寒いのはなぜで解説しています。

アッシュくんメモ:「部屋の空気で燃やして、部屋に排気を出す」のが開放型。見分けるには、壁に排気の管がつながっているかどうかを見ればいいんだね。

一酸化炭素はなぜこわいのか

アッシュくん

一酸化炭素って、どうしてそんなに注意されるの? 二酸化炭素とは違うの?

エース先生

まったく別の物質だ。二酸化炭素は燃料がきちんと燃えたときに出るもので、濃くなると息苦しさを感じる。一方の一酸化炭素は、酸素が足りず燃え残りが出る不完全燃焼のときに発生する。

こわい理由は3つある。ひとつは無色無臭で、目や鼻では気づけないこと。ふたつめは、ごくわずかな濃度でも体への影響が大きいこと。みっつめは、初期の症状が頭痛や眠気といった風邪や疲れに似たもので、気づいたときには体が動かなくなっていることがあると、消防や医療の機関から注意が呼びかけられていることだ。

だから対策は「気づいてから」ではなく「起こさない」に置く。定期的な換気、器具の手入れ、そして一酸化炭素の警報器を置くこと。この3つが基本になる。

不完全燃焼が起きる条件は、酸素の不足だけではありません。器具のフィルターが目詰まりして空気が吸えない、燃焼部分にほこりがたまっている、古い灯油を使っている。こうした状態でも燃え方は悪くなります。シーズン前の手入れは、暖まりやすさだけでなく安全のためでもあります。

換気のしかたと、24時間換気との関係

  1. 窓を2か所開ける:対角の位置にある窓を開けると、空気が一直線に流れて短時間で入れ替わります。1か所だけでは空気が動きにくくなります
  2. 時間の目安:1時間に1回から2回、1回あたり数分間が一般的な案内です。器具の取扱説明書に記載があればそれに従います
  3. 24時間換気は止めない:住宅に備わっている常時の換気は、燃焼器具の排気を出すために設計されたものではありません。開放型の器具を使うときは、それとは別に窓を開ける換気が必要です
  4. 給気口をふさがない:壁の給気口を閉めていると、燃焼で使った酸素の補充が追いつきません
  5. 器具の近くに洗濯物や紙を置かない:換気とは別の話ですが、火災の予防としてあわせて注意します

換気の基本的な考え方は換気設備と24時間換気の基礎入門、空気が出るには入口が要るという話は換気扇を回すとドアが重いで解説しています。

高気密の住宅では、開放型はそもそも向かない

アッシュくん

最近の家は隙間が少なくて暖かいって聞くけど、ファンヒーターを使うならなおさら換気が大事ってこと?

エース先生

そのとおりで、むしろ設計の側では「高気密の住宅で開放型の燃焼器具は使わない」という考え方が広がっているんだ。

昔の家は隙間が多く、知らないうちに外の空気が入り込んでいた。だから開放型の器具を使っても、多少は空気が入れ替わっていた。ところが今の住宅は隙間を徹底的にふさいで、換気は計画的に機械で行う。その部屋で火を燃やせば、排気の逃げ場も酸素の入り口も少ない。

それに開放型の器具は、燃焼で大量の水蒸気を出す。気密の高い家ではこの湿気が逃げず、窓や壁の中で結露を起こしやすくなる。暖かさの代わりに、カビや建物の傷みを招くことがあるんだ。

だから新しい住宅の多くは、暖房をエアコンや床暖房、あるいは密閉型の器具で計画する。家の性能が上がるほど、暖房の選び方も変わってくるんだよ。

燃焼で出る水蒸気が結露につながるしくみは結露のしくみと対策の基礎入門、断熱と気密の考え方は断熱材の種類と選び方で解説しています。ガス機器の安全についてはガス設備の基礎入門もどうぞ。

まとめ:部屋で火を燃やすなら、空気を入れ替える

  • 石油ファンヒーターやガスファンヒーターは、部屋の空気で燃やし排気も部屋に出す開放型
  • 締め切って使い続けると酸素が減り、不完全燃焼で一酸化炭素が出るおそれがある
  • 一酸化炭素は無色無臭で、初期の症状が風邪や疲れに似ているため、起こさない対策が基本
  • 換気は1時間に1〜2回、数分間が目安。対角の窓を2か所開けると効率がよい
  • 24時間換気は燃焼器具の排気用ではない。開放型を使うときは別に窓を開ける
  • 外気で燃やし屋外へ排気する密閉型なら換気は不要。工事が要るが長時間の使用に向く
  • 高気密の住宅では開放型が向かず、結露の原因にもなる。暖房の選び方が家の性能で変わる

おさらいクイズ

エース先生の話、覚えられたかな? 直感で選んでみてね。

  1. 石油ファンヒーターが「開放型」と呼ばれる理由は?

    • 部屋の空気で燃やし、排気も部屋の中に出すから
    • ふたが開いているから
    • 屋外でも使えるから

    正解は1番。部屋の酸素を使い、燃えたあとの排気を部屋に戻すため、定期的な換気が必要になります。

  2. 一酸化炭素がとくに危険とされる理由は?

    • 強いにおいがするから
    • 目に見える煙が出るから
    • 無色無臭で気づけず、初期の症状が風邪や疲れに似ているから

    正解は3番。気づいてから対処するのは難しいため、換気・器具の手入れ・警報器という「起こさない」対策が基本になります。

  3. 24時間換気があれば、開放型の暖房器具の換気は不要ですか?

    • 不要になる
    • 不要にはならない。別に窓を開ける換気が必要
    • 24時間換気を止めればよい

    正解は2番。常時換気は燃焼器具の排気のために設計されたものではありません。開放型を使うときは、1時間に1〜2回の窓開けが必要です。

よくある質問

一酸化炭素の警報器はどこに置けばいいですか?

器具の取扱説明書や警報器の説明書に設置位置の案内があります。一般には、燃焼器具を使う部屋の、器具から少し離れた位置に取り付けます。火災警報器とは検知するものが違うため、別の機器として用意します。

換気すると部屋が寒くなります。短くてもいいですか?

目安は1回あたり数分間です。対角の窓を2か所開けると、空気が一直線に流れて短い時間で入れ替わります。窓を開けている間も暖房を止める必要はありません。空気を入れ替えることが目的で、部屋を冷やすことではありません。

石油ストーブの上でやかんを沸かすのは大丈夫ですか?

器具の説明書で認められている場合に限ります。加湿にはなりますが、燃焼による水蒸気に加えてさらに湿気が増えるため、結露には注意が必要です。転倒や火傷の危険もあるため、小さな子どもがいる家庭では避けたほうが安全です。

賃貸の部屋で石油ファンヒーターは使えますか?

契約や管理規約で禁止されている物件があります。とくにマンションでは、灯油の保管や燃焼器具の使用を認めていない場合が多くあります。使う前に契約書や管理会社に確認してください。

設備設計では暖房器具の種類まで決めるのですか?

建物の性能に合わせて暖房の方式を計画します。高気密高断熱の住宅では、開放型の燃焼器具を想定せず、エアコンや床暖房、密閉型の器具で暖房を組み立てるのが一般的です。換気の計画も暖房方式とセットで考えます。暖房と換気は別々の設備ではなく、ひとつの空気の設計として扱われます。