外壁をよく見ると、板と板の間や窓のまわりに、細くてやわらかい帯状のものが詰められています。年数が経つと、そこにひびが入ったり、縮んで壁との間にすき間ができたりします。外壁のシーリングと呼ばれるこの部分は、目立たないのに建物の防水を左右する大事な場所です。

今回はアッシュくんが、意匠設計にくわしいさと吉先生に、シーリングの役割と、切れる理由、直す時期を教わります。

結論から言うと、シーリングは外壁の継ぎ目や窓のまわりの「動くすき間」を、やわらかい材料でふさいで雨水を止めるためのものです。外壁の板は温度で伸び縮みし、建物は風や地震で少し動くため、硬い材料で埋めると割れてしまいます。そこでゴムのように伸び縮みする材料を使いますが、その材料は太陽の紫外線と熱、繰り返しの伸び縮みで少しずつ硬くなり、やがて割れたり壁から剥がれたりします。切れたシーリングは雨水の入口になるため、ひびや剥がれが見えたら、外壁の塗り替えと同じ時期に古い材料を撤去して新しく詰め直す「打ち替え」を行うのが基本です。

なぜ継ぎ目をやわらかい材料で埋めるのか

アッシュくん

さと吉先生、外壁の継ぎ目って、どうしてゴムみたいなもので埋めてあるの? 硬い材料でぴったり埋めた方が丈夫そうなのに。

さと吉先生

硬い材料だと、すぐに割れてしまうんだ。外壁の板は、夏の日差しで温まると伸び、冬に冷えると縮む。建物そのものも、風で揺れ、地震で動き、地盤の変化で少しゆがむ。板と板の継ぎ目は、この動きを逃がすためにわざと空けてあるすき間なんだ。

そのすき間を硬いもので埋めると、板が動いたときに埋めた材料か板のふちが割れる。だから、動きに合わせて伸び縮みできるやわらかい材料で埋める。これがシーリングだ。ゴムのように伸びて、板が戻れば元に戻る。この「追従する」性質が、雨を止め続けるための条件なんだよ。

とくに大事な場所が2つある。ひとつは外壁の板の継ぎ目。板を張る外壁では、縦の継ぎ目が家中に何本も走っている。もうひとつは窓のまわり。窓の枠と外壁は別の材料で、動き方が違うから、そのすき間から雨が入りやすい。窓の上や横のシーリングが切れると、壁の中の窓枠の裏に水が回って、室内側の窓の下にしみが出る。

アッシュくん

すき間はわざと空けてあるんだ。動きを逃がすためのすき間を、動ける材料でふさぐ。だからやわらかくないとだめなんだね。

シーリングはなぜ切れるのか

やわらかい材料は、時間とともにやわらかさを失っていきます。原因は主に3つです。

原因何が起きるか現れる症状
紫外線と熱材料の成分が変化して硬くなり、表面から劣化する表面のひび割れ、粉を吹いたような状態、色あせ
繰り返しの伸び縮み毎日の温度変化で伸び縮みを繰り返し、材料が疲労する中央の割れ(破断)、材料そのものの裂け
壁との接着の低下壁の面との接着が弱まり、はがれる壁とシーリングの間にすき間が開く(剥離)
材料の縮み成分が抜けて全体が縮み、やせる継ぎ目のくぼみ、厚みの減少

南側や西側の、日差しを長く受ける面は劣化が早く進みます。同じ家でも北側はまだきれいなのに南側は割れている、ということがよくあります。点検するときは、日当たりのよい面から見ると劣化のサインを見つけやすくなります。

アッシュくんメモ:やわらかい材料は日差しと伸び縮みで硬くなっていくんだね。硬くなったら追従できなくなって切れる。南側から先に傷むから、点検は南側からか。

劣化のサインを見分ける

アッシュくん

自分の家のシーリングが、もう直す時期なのかどうかって、どう見分けるの?

さと吉先生

段階で見るといい。最初の段階は、表面に細かいひびが入る、指で押しても弾力がなく硬い、という状態。まだ雨は止まっているが、寿命が近い。次の段階は、シーリングの真ん中が裂けている、または壁との間に線のようなすき間が見える。ここまで来ると雨水が入り始めているから、早めに直す。最後の段階は、シーリングが縮んで細くなり、奥の下地が見えている、剥がれ落ちている。これは雨の入口が開いたままの状態だ。

手が届く高さなら、指で軽く押してみるといい。新しいシーリングは押すとへこんで戻る。硬くて戻らない、押すと割れる、なら劣化している。2階の窓まわりは、双眼鏡やカメラの望遠で見るか、塗り替えの見積りのときに業者に写真を撮ってもらう。

室内側のサインもある。窓の下の壁紙にしみや浮きが出る、窓枠の木が黒ずむ、というのは窓まわりのシーリングが切れて水が回っている可能性が高い。外から見て分からなくても、室内のしみで気づくことは多いんだ。

壁の中に水が入ったあと、木造の建物がどう傷んでいくかは木造住宅の寿命は本当に30年?で解説しています。屋根の上の平らな面の防水は屋上防水の基礎入門をご覧ください。

増し打ちと打ち替えの違い

シーリングの補修には2つの方法があり、仕上がりの寿命が大きく違います。

  • 打ち替え:古いシーリングをカッターで切り取って撤去し、下地を整えてから新しい材料を詰めます。厚みが確保でき、壁との接着も新しくなるため、本来の寿命が期待できます。基本はこちらです
  • 増し打ち:古いシーリングを残したまま、上から新しい材料を重ねます。撤去の手間がなく安価ですが、古い材料の上に薄く乗るだけなので厚みが取れず、下の古い材料が縮めば一緒に割れます。窓まわりなど、撤去すると窓の防水紙を傷める恐れがある場所で、やむを得ず選ぶ方法です

見積りで「シーリング補修」とだけ書かれている場合は、打ち替えか増し打ちかを確かめてください。同じ言葉でも中身と寿命がまったく違います。外壁の板の継ぎ目は打ち替え、窓まわりは状況に応じて判断、というのが一般的な使い分けです。

塗り替えと同時に行う理由

アッシュくん

シーリングだけ直すこともできるの? 外壁の塗り替えと一緒じゃないとだめ?

さと吉先生

シーリングだけでもできるが、一緒にやるのが合理的な理由が3つある。ひとつは足場だ。2階の継ぎ目や窓まわりを直すには足場が要る。足場の費用は工事の中で大きな割合を占めるから、塗り替えと別々にやると足場代を二度払うことになる。

ふたつめは順番だ。塗り替えのときは、先にシーリングを打ち替えて、その上から塗装する。塗膜がシーリングを紫外線から守るから、シーリングの寿命が延びる。逆に塗り替えの後にシーリングを直すと、新しい塗膜を切ることになるし、シーリングがむき出しになって早く傷む。

みっつめは寿命の周期が近いことだ。外壁の塗装もシーリングも、十年前後で手入れの時期を迎える。だから「外壁の塗り替えのときにシーリングも打ち替える」を一つの周期として計画しておくと、無駄がない。設計のときにも、継ぎ目の本数を減らす外壁の張り方や、シーリングに頼らない継ぎ目の形を選ぶことで、将来の手入れを軽くすることができるんだよ。

屋根や外壁と一緒に点検したい雨樋の話は雨樋は何のためにある?で、外まわりの手入れの周期の立て方は設備の更新はいつで解説しています。

まとめ:動くすき間を、動ける材料でふさぐ

  • シーリングは外壁の継ぎ目や窓まわりの「動くすき間」を、伸び縮みする材料でふさいで雨を止めている
  • 紫外線と熱、繰り返しの伸び縮み、接着の低下、材料の縮みで硬くなり、割れたり剥がれたりする。日当たりのよい面から先に傷む
  • 劣化のサインは表面のひび、弾力の低下、中央の裂け、壁との間のすき間、やせ。室内の窓下のしみも手がかり
  • 補修は古い材料を撤去する打ち替えが基本。増し打ちは安いが寿命が短い。見積りでどちらかを確かめる
  • 塗り替えと同時に行うと、足場を共用でき、塗膜でシーリングを守れ、手入れの周期がそろう

おさらいクイズ

さと吉先生の話、覚えられたかな? 直感で選んでみてね。

  1. 外壁の継ぎ目をやわらかいシーリングで埋める理由は?

    • 硬い材料より安いから
    • 見た目がきれいだから
    • 外壁の板や建物が動くので、その動きに追従して雨を止め続けるため

    正解は3番。継ぎ目は動きを逃がすためにわざと空けてあるすき間です。硬い材料で埋めると板が動いたときに割れてしまうため、伸び縮みできる材料を使います。

  2. 「打ち替え」と「増し打ち」の違いは?

    • 打ち替えは古い材料を撤去して新しく詰め、増し打ちは古い材料の上に重ねる
    • 打ち替えは窓まわり専用、増し打ちは外壁専用
    • どちらも同じ作業で名前が違うだけ

    正解は1番。打ち替えは厚みと接着が新しくなり本来の寿命が期待できます。増し打ちは安価ですが、下の古い材料が縮めば一緒に割れるため寿命が短くなります。

  3. シーリングの打ち替えを外壁の塗り替えと同時に行う理由として正しいのは?

    • 塗料とシーリングが同じ材料だから
    • 足場を共用でき、塗膜がシーリングを紫外線から守り、手入れの周期がそろうから
    • 法律で決まっているから

    正解は2番。先にシーリングを打ち替えてから塗装すると、塗膜がシーリングを守ります。足場代を一度で済ませられる点も大きな理由です。

よくある質問

シーリングとコーキングは何が違いますか?

実務ではほぼ同じ意味で使われています。どちらも継ぎ目やすき間を材料で埋めて水や空気を止める作業や材料を指します。業者によって呼び方が違うだけで、作業の内容が変わるわけではありません。

自分でシーリングを直せますか?

手が届く低い位置の小さなひびなら、市販の材料で応急の補修はできます。ただし、古い材料の撤去、下地の処理、接着を助ける下塗り、材料の選定と厚みの確保など、長持ちさせるには手順と経験が要ります。2階や窓まわりの本格的な打ち替えは、足場と技術が必要なため業者に依頼してください。

シーリングの寿命はどのくらいですか?

材料の種類、施工の質、日当たりで大きく変わります。一般には十年前後で劣化のサインが出始めることが多く、日差しの強い面ではそれより早まります。年数より、ひびや剥がれといったサインを見て判断してください。

タイル張りの外壁にもシーリングはありますか?

あります。タイル面の中にも、建物の動きを逃がすための目地が一定の間隔で設けられ、そこにシーリングが詰められています。窓まわりや外壁の角、階の境目にもあります。タイルそのものは長持ちしますが、シーリングは同じように劣化するため、定期的な点検と打ち替えが必要です。

新築で、将来のシーリングの手入れを減らす設計はできますか?

できます。継ぎ目の本数が少ない大きな板を使う、継ぎ目の裏に金物を入れてシーリングに頼らない形にする、窓の上に小さな庇を付けて雨と日差しを避ける、といった工夫があります。設計の打ち合わせで「将来の手入れを軽くしたい」と伝えると、外壁の材料や張り方の選択肢が変わります。