気がつけば、電気の検針票がポストに入らなくなった。玄関先のメーターをのぞくと、かつてくるくる回っていた銀色の円盤がなく、代わりに液晶の数字が並んでいる。この静かな入れ替わりの主役が、スマートメーターです。
今回はアッシュくんが、電気にくわしいのりめぇる先生に、スマートメーターの正体と、暮らしの中でどう役立つのかを教わります。じつは分電盤の中身にも変化を起こしている、地味ながら大きな転換です。
円盤が消えて、通信機能が付いた
のりめぇる先生、電気のメーターって昔は円盤が回ってたよね。あれ、どこへ行っちゃったの?
あの円盤式は誘導形電力量計といって、電気が流れると円盤が回る仕組みだった。回った回数を歯車で数えて、使った電力量を表示していたんだ。機械式の時計と同じ発想だね。
いま置き換わっているスマートメーターは、電子式の計量と通信機能を持った電力量計だ。使った量を電子的に計り、その数値を通信で電力会社へ送る。だから人が見に来る必要がなくなった。検針員さんの訪問がなくなったのは、メーターが自分で報告できるようになったからだよ。
それだけじゃない。30分ごとの使用量を記録できるようになったから、時間帯によって単価が変わる料金プランや、細かい使用量の確認ができるようになった。円盤が消えたのは、単なる見た目の変化じゃなくて、電気の測り方そのものが変わった合図なんだ。
メーターが自分で報告してくれるんだ! だからポストに検針票が入らなくなったんだね。
| 従来の円盤式 | スマートメーター | |
|---|---|---|
| 計量の方法 | 円盤の回転(機械式) | 電子式 |
| 検針 | 人が訪問して目視 | 通信で自動送信 |
| 記録の細かさ | 1か月の合計 | 30分ごとの使用量 |
| 契約変更 | 作業員の訪問が必要 | 遠隔で対応できる場合がある |
| 表示 | 数字の回転式カウンター | 液晶画面 |
分電盤からアンペアブレーカーが消えた理由
そういえば、うちの分電盤には契約用のアンペアブレーカーがないんだ。前に教えてもらった3種類のうち1つが見当たらなくて。
それもスマートメーターの効果だ。契約した容量を超えたときに電気を止める役目は、もともと分電盤のアンペアブレーカーが担っていた。ところがスマートメーターには、電流を計って制限する機能を持たせることができる。
つまり契約容量の見張りをメーターの側で引き受けられるようになった。だから新しく設置される場合、分電盤のアンペアブレーカーが省かれることがある。契約容量を変えるときに、作業員が来て盤のブレーカーを交換する必要がなくなったのも同じ理由だね。
ただし地域や契約方式、設備の状況によって扱いは違う。自分の家の分電盤に何が並んでいるかを一度確かめておくと、停電したときに落ち着いて対応できるよ。
分電盤に並ぶブレーカーの役割分担と、落ちたときの正しい戻し方は主幹ブレーカーとは、契約容量そのものの考え方は契約アンペアと電気容量の基礎入門で解説しています。
アッシュくんメモ:「メーターが賢くなったから、分電盤の仕事が1つ減った」と覚えると分かりやすいよ。見張り番の担当が、家の中から玄関先へ引っ越したんだね!
暮らしにどう役立つのか
- 使用量を細かく見られる:多くの電力会社が、契約者向けの画面で日別・時間帯別の使用量を確認できるサービスを提供しています。「どの時間帯に電気を使っているか」が見えると、節約の的が絞れます
- 時間帯別のプランを選べる:30分ごとの計量ができるため、夜間が安いプランなど、生活リズムに合わせた契約が選択肢になります
- 引っ越しの手続きが早い:使用開始や停止が遠隔で対応できる場合があり、立ち会いが不要になることがあります
- 停電の把握が早い:メーターからの情報で、電力会社側が停電の範囲を把握しやすくなります
使用量の数字を電気代に読み替える方法は電気代の計算方法でくわしく解説しています。スマートメーターで見える細かいデータは、この計算と組み合わせると効き目が大きくなります。
気になる疑問に答える
新しい機器なので、心配の声もよく聞かれます。
- 取り替え費用:計量器は電力会社の資産で、交換にあたって利用者が費用を負担しない扱いが一般的です。心当たりのない請求があれば、契約している電力会社に確認してください
- 停電するのか:交換作業では短時間の停電が生じる場合があります。事前に案内が入るのが通例です
- 何が送られているのか:送られるのは電気の使用量に関する情報で、家の中の会話や映像が送られるわけではありません
- 寿命:電力量計は計量法にもとづき、一定期間ごとに交換される決まりがあります。スマートメーターも例外ではなく、期限が来れば新しいものに取り替えられます
建物の設備設計から見たスマートメーター
住まいの話だけでなく、建物の設計にとってもスマートメーターの普及は意味を持ちます。使用量が細かく記録されることで、建物が実際にどう使われているかが数字で見えるようになるからです。
- 設計の想定と実際を比べられる:設計段階では、想定した使い方から電気の容量を計算します。運用後の実測値と比べることで、次の設計や改修の判断が正確になります
- ピークの時間帯が分かる:いつ最も電気を使っているかが見えると、機器の運転を分散させる工夫や、契約の見直しにつながります
- 省エネ改修の効果を測れる:照明のLED化や空調の更新を行ったとき、前後の使用量を比較して効果を確かめられます
ビル全体の使用状況を集めて管理するしくみはBEMSの基礎入門で解説しています。住宅のスマートメーターは、その考え方をいちばん小さな単位で実現したものと言えます。需要率や負荷率といった、使い方を数字で表す指標は需要率・負荷率・不等率の基礎入門もどうぞ。
玄関先の小さな箱が、家の電気の使い方を記録して、しかも設計の答え合わせにも使えるなんて。地味な見た目なのに働き者だなあ。
設備の進歩って、実はこういう地味な部品から始まることが多いんだ。測れるようになると、初めて改善できる。逆に測れないものは良くしようがない。まずは自分の家の使用量のグラフを一度見てみるといい。「この時間、こんなに使ってたのか」という驚きが、いちばん確実な節電の第一歩になるよ。
まとめ:測り方が変わり、暮らしの選択肢が増えた
- スマートメーターは電子式の計量と通信機能を備えた電力量計。円盤式の後継
- 検針員の訪問が不要になったのは、メーターが自分で使用量を送れるようになったため
- 30分ごとの記録ができるので、時間帯別の料金プランや細かい使用量の確認が可能になった
- 契約容量を見張る機能を持たせられるため、分電盤のアンペアブレーカーが省かれることがある
- 送られるのは使用量の情報。計量器は電力会社の資産で、交換費用の負担は生じない扱いが一般的
おさらいクイズ
のりめぇる先生の話、覚えられたかな? 直感で選んでみてね。
-
検針員の訪問が不要になった理由は?
- 使用量を利用者が自分で申告するようになったから
- 1年に1回だけ検針すればよくなったから
- メーターが通信で使用量を送れるようになったから
正解は3番。スマートメーターは通信機能を持ち、計量した数値を自動で送ります。だから人が見に来る必要がなくなりました。
-
スマートメーターが記録できる細かさは?
- 30分ごとの使用量
- 1年ごとの合計だけ
- 使用量は記録しない
正解は30分ごと。この細かさがあるため、時間帯によって単価が変わる料金プランや、日別・時間別の使用量の確認ができます。
-
分電盤のアンペアブレーカーが省かれることがある理由は?
- 安全性が不要になったから
- 契約容量を見張る機能をメーター側に持たせられるから
- 漏電しなくなったから
正解は2番。見張り番の担当が分電盤から玄関先のメーターへ移りました。漏電を守る主幹ブレーカーは引き続き分電盤にあります。
よくある質問
自分の家のメーターがスマートメーターかどうか、どう見分けますか?
表示部が液晶で、回転する円盤がなければスマートメーターです。円盤式なら従来型で、順次交換が進められています。交換の時期は電力会社の計画によります。
使用量のデータはどこで見られますか?
契約している電力会社の会員向けの画面(ウェブサイトやアプリ)で確認できるのが一般的です。提供されるサービスの内容は会社によって異なるため、契約先の案内を確認してください。日別や時間別のグラフが見られると、節電の効果を実感しやすくなります。
スマートメーターにすると電気代は安くなりますか?
メーター自体が料金を下げるわけではありません。ただし使用量が細かく見えるようになるので、無駄に気づいて減らせる、生活リズムに合った料金プランを選べる、という間接的な効果があります。道具が節約してくれるのではなく、判断の材料が増えると考えるのが正確です。
交換のとき立ち会いは必要ですか?
屋外にメーターがある場合は、立ち会いなしで作業が行われることが多いです。屋内や共用部の鍵の中にある場合は日程調整が必要になります。いずれも事前に案内が届くため、届いた案内の指示に従ってください。
太陽光発電を載せている家でも同じですか?
発電した電気を売る場合は、買った量と売った量の両方を計る必要があるため、それに対応した計量が行われます。設備の構成によって必要な機器が変わるので、設置や契約の際に販売会社や電力会社へ確認するのが確実です。
