「ここにコンセントがあれば」と思う場所が、家には必ずいくつかあります。延長コードを伸ばして間に合わせているけれど、見た目も悪いし、足に引っかかるのも気になる。壁に穴を開けて増やせないものか、と考えたことはありませんか。
今回はアッシュくんが、電気にくわしいのりめぇる先生に、コンセント増設の考え方を教わります。結論から言えば、自分でやってはいけない作業です。でも「なぜダメか」と「どう頼めばいいか」を知っておくと、相談の質が変わります。
壁の中の配線は資格が必要な作業
のりめぇる先生、コンセントって部品を買ってくれば自分で増やせないの? 見た感じ、線をつなぐだけのような気がするけど。
気持ちは分かるけれど、そこはきっぱり線が引かれているんだ。壁の中の配線や、コンセントを新しく設ける工事は、電気工事士の資格を持つ人でなければ行えない作業だよ。無資格でやることは法令に反するし、何より危ない。
なぜ危ないかというと、失敗が目に見えないところで進行するからだ。接続が緩ければ、そこが発熱する。壁の中や天井裏で少しずつ焦げていって、気づいたときには火災になる。ケーブルの太さが足りなければ同じことが起きる。極性やアースをつなぎ違えれば、感電の危険が生まれる。
そして厄介なのは、工事の直後は何の問題もなく動いてしまうことなんだ。「できた」と思ったその配線が、何年後かに事故を起こす。だからこの領域は、資格を持つ人の仕事として区切られているんだよ。
すぐ動いちゃうのが逆にこわいんだね。見えないところで起きるトラブルだから、資格で守られてるのか。
接続部の緩みやほこりから起きる発火についてはコンセントから火事で解説しています。壁の中で起きれば、気づくのはさらに遅くなります。
自分でできることと、頼むことの境目
| やること | 自分でできるか |
|---|---|
| 延長コードやテーブルタップを使う | できる(合計1500Wの上限に注意) |
| コンセントのカバー(プレート)を交換する | 製品によっては可能だが、内部に触れる作業は不可 |
| 壁にコンセントを新設する | できない(電気工事士の作業) |
| 既存のコンセントを差し口の多いものに交換する | できない(内部の配線に触れるため) |
| 分電盤に回路を追加する | できない |
| エアコン用の200V化 | できない |
テーブルタップで足りる場面なら、それがいちばん手軽な解決です。ただし合計のワット数には上限があります。考え方はたこ足配線はなぜ危ないでくわしく解説しています。
アッシュくんメモ:「差して使う」までが自分の領分、「壁の中をいじる」のはプロの領分。この線引きだけ覚えておけば間違えないね!
増設には2つの方法がある
頼むとしたら、どんな工事になるの?
大きく2通りある。1つは、近くにある既存の回路から分岐して新しいコンセントを設ける方法。工事は比較的簡単で済むことが多い。
ただし条件がある。その回路にどれだけ余裕があるか、だ。1つの回路は決まった容量までしか流せない。すでに複数のコンセントがつながっている回路にさらに足して、そこで電子レンジのような大食い家電を使えばブレーカーが落ちる。増やしたのに使えない、という結果になりかねない。
もう1つは、分電盤から新しい回路を引く方法だ。専用の回路になるから容量に余裕があり、大きな家電も安心して使える。そのかわり分電盤に空きのスペースが必要で、配線を通す距離も長くなる。
どちらが適切かは、何をつなぎたいかで決まる。だから相談するときは「コンセントを増やしたい」ではなく「ここで何を使いたい」と伝えるのが正解なんだ。
回路の分け方や幹線との関係は幹線と分岐回路とは入門、分電盤の中でどのブレーカーがどの回路を守っているかは主幹ブレーカーとはで解説しています。
相談するときに伝えると話が早いこと
- 何を使うか:パソコンとスマホの充電なのか、電子レンジやドライヤーなのか。消費電力の大きさで工事の方法が変わります
- どこに欲しいか:壁のどの位置か、床からの高さはどれくらいか。家具の配置と合わせて伝えると失敗が減ります
- アースが必要か:洗濯機、電子レンジ、パソコンなどはアース付きが望ましい機器です。しくみはアース(接地)とはをどうぞ
- 屋外かどうか:屋外や水回りでは、防水型や防雨型のコンセントが必要になります
- 分電盤の写真:空き回路があるかどうかの判断材料になります。扉を開けた状態で撮っておくと、電話での相談でも話が進みます
器具の種類ごとの違いはコンセントとスイッチの種類と選び方で整理しています。使う場所に合った形を選ぶことも、増設の大事な一部です。
賃貸と分譲、それぞれの注意
- 賃貸住宅:壁に手を入れる工事は原状回復の対象になります。管理会社や大家さんの許可が必須です。無断で行うと退去時に問題になります
- 分譲マンション:専有部の工事でも、管理規約で届け出や承認が必要な場合があります。共用部の配線に関わる場合は、さらに制約があります
- 戸建て:比較的自由度は高いものの、分電盤の容量や契約の見直しが絡むことがあります
いずれの場合も、資格を持つ業者に依頼するという原則は変わりません。契約アンペアの見直しが必要になる場合の考え方は契約アンペアと電気容量の基礎入門で解説しています。
「コンセントを増やして」じゃなくて「ここで何を使いたい」って伝えるんだね。相談の仕方でこんなに変わるとは思わなかったよ。
それは設計の相談すべてに通じるコツだよ。設備の専門家が知りたいのは、ほしい部品の名前ではなく、そこで実現したい暮らしなんだ。「電子レンジと炊飯器を同時に使いたい」と言ってもらえれば、必要な回路の数まで一気に判断できる。目的から話す。これができる人の相談は、いつも良い結果になるんだ。
まとめ:頼む前に「何を使うか」を決める
- 壁のコンセントの新設や交換は、電気工事士の資格が必要な作業。自分では行えない
- 危険なのは、施工の失敗が壁の中で進行し、数年後に発熱や火災につながること
- 自分でできるのは、差して使う範囲まで。テーブルタップは合計1500Wが上限
- 増設は既存回路から分岐する方法と、分電盤から新規回路を引く方法の2通り
- どちらが適切かは「そこで何を使うか」で決まる。大食い家電なら専用回路が必要
- 賃貸は許可が必須、分譲は管理規約の確認が必要
おさらいクイズ
のりめぇる先生の話、覚えられたかな? 直感で選んでみてね。
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壁にコンセントを新設する工事は?
- 部品を買えば誰でもできる
- 電気工事士の資格が必要で、無資格では行えない
- 大家さんの許可があれば誰でもできる
正解は資格が必要。施工の不備は壁の中で進行し、発熱や火災、感電につながります。許可の有無とは別に、資格の要件があります。
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既存回路から分岐して増設するときの注意点は?
- コンセントの色が変わる
- 電気代が2倍になる
- その回路の容量に余裕がないと、ブレーカーが落ちて使えない
正解は容量の問題。1つの回路には流せる上限があります。大きな家電を使うなら、分電盤から専用の回路を引く方法が適しています。
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増設を相談するときに伝えると話が早いのは?
- そこで何の家電を使いたいか
- コンセントの色の希望だけ
- 工事してほしい曜日だけ
正解は使う家電。消費電力の大きさで工事の方法が変わるためです。分電盤の写真もあると、空き回路の判断材料になります。
よくある質問
市販の「コンセント増設タップ」は工事ですか?
差し込んで使うタイプの製品は工事ではないため、自分で使えます。ただし差し口が増えても、その回路に流せる電気の量は増えません。合計のワット数の上限は変わらないという点に注意してください。
エアコン専用コンセントがない部屋にエアコンを付けたいのですが。
専用回路の新設が必要になることが多いです。エアコンは消費電力が大きく、他の機器と回路を共有すると使用中にブレーカーが落ちる原因になります。機種によっては200Vが必要な場合もあり、その場合も工事が伴います。設置工事の見積り時に、電気工事の内容も含めて確認してください。
USBコンセントに交換したいのですが自分でできますか?
できません。壁のコンセントを別の器具に交換する作業は、内部の配線に触れるため資格が必要です。差し込んで使うタイプの充電器なら自由に使えるので、工事を伴わない範囲で解決できるならそちらが手軽です。
コンセントの数はどれくらいあるとよいですか?
暮らし方によりますが、後から足すより最初に多めに設けておくほうが確実です。新築やリフォームの計画時には、家具の配置と使う家電を書き出して、コンセントの位置と数を一緒に検討することをおすすめします。図面の段階なら、位置を動かすのは線を引き直すだけで済みます。
古い家でコンセントが2つ穴しかありません。アース付きに変えられますか?
変更できる場合がありますが、アースの線がその場所まで来ているかどうかが条件になります。来ていなければ、アース線を新たに引く工事が必要です。洗濯機や電子レンジなど、アースが望ましい機器を使う場所は、業者に現地を見てもらって判断を仰いでください。
